光/
佐藤伊織
「あれは何ですか」
あれは、づ じょうに ある。
「あれは何ですか」
紙が丘のうえに たてた
高い高い柱の先を
ただ 黙々とのぼっていく 小僧の
姿が
眩しくて
みえない
「あれは何ですか」
瞳のない目玉が側面についた男が
僕の耳元で囁いている
「あれは何ですか」
僕は機械化された喉の奥から
一本のひもを取り出して
口から小僧が顔を出すのだ。
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