カラカラ/ただのみきや
 
 風に吹かれて空き缶が
 ゆるい傾斜を上って行く
 カンカラ転がり上っては 
 カラカラカラリと下りてくる
 あの風が止んでしまえば
 あとは 下りるだけ
 底の底まで落ちぶれて
 それも自然なことだろう


 働けるという幸い
 働かなければならないという辛さ
 食べて行ける幸せ
 食べて行くための戦い
 陽気なお日様に頬を弄られ
 固い道路に踵を削られながら
 ドラッグストアの駐車場
 虚ろな自分の顛末を見極めたくて


 このまま行きつ戻りつなら
 勝ち負け論で人生を割り切るのも良し
 だが 車に引かれてペシャンコとか
 誰かに拾われリサイクルボックスなら
 偶然を装った運命の細い手を
 こちらから握ってみるのも悪くはない  
 そうら 風が吹いて来た
 笑えよ笑え呆気らかんと
 転がれ転がれ素っ空漢と


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