水と径/木立 悟
静かな光 白を昇り
ひとつ喰らい
迷いを喰らい
明け方に降る 音を歩き
骨の曇の重なりの
はざまのはざまのはざまから
煙と霞のまじわりが
遠い遠い氷を照らす
花が花を脱ぎ
闇に映る
霧 樹 水
岩 窓 剣
来ては去る雨
鱗の数の 夜や目や羽
長いうつろを渡りつづける
荒れた緑 崖と氷
ひとつひとつ うすれゆく夜
嵐のなかの鳥のかたち
途切れしたたる鉄の管
色を吸う径
にじむ径
森の終わるところから
鉱のような街が見える
曇が昇る
はざまが昇る
向かい合う灯が浪を呼ぶ
街を混ぜる手
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