寝惚けまなこの冷静/茜井ことは
どうしようもない
雨が降ったら外に出よう
あなたの影
探さなくてすむだろう
めざめれば
ひとりぼっち
暑さのあまり肌よりも
わたしにこころよいシーツ
からだを起こす気力を
かきあつめているわたしにも
容赦なく降り注ぐ
清潔な午前のひかりは
輪郭のクリアな影を
部屋のあちこちに貼りつけている
キッチンで
オレンジジュースを流しこんだら
胃袋だけが冴えてしまった
夢で膨れた脳はまだ
シーツの上を転がっている
わたしを囲むなにもかもに
勤勉な空気をまとわせる
午前という快活な区分
喪失ばかりが訪れる
ままならない痛みの連なりこそが現実だと
言い含めながら誰かわたしを目覚めさせて
どうしようもない
雨が降ったら外に出よう
あなたの影
探さなくてすむだろう
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