無くしてから分かるもの/owl
睫毛は視界の檻
目蓋を綴じれば微かな光と闇
眼底に残る光景は
遠くへ置き去りにした記憶
思い出の温もりを反芻させ
失った後の冷たい指で
搾り零れ堕ちた雫を
受け止めるだけ
何故かその水に暖かさを感じるのは
きっと忘れてしまわないように
その時の気持ちを込めていたんだろう。
魂は過去を追いかけるのに
体は未来へ進んでる
引き離される思考は
苦痛と軋む音でいっぱい
時間が経つ毎に煩くて痛くて
忘却の彼方へ
わたしも一緒に放り投げて…
そしたら手枷も足枷も砕け散って
わたしはもう一度羽ばたけるから…。
失ったものは
大切なもので
大切ものだから
失ってから気付くんだ
だから精一杯泣いている
何かを縋って償うみたいに…
無知だった自分を許すために…。
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