ノート(ふるえ)/木立 悟
 



そのままの静かな脚の間から
見える色は枯葉だった


風と風ではないものの境に
あなたは立っていた


空き地に囲まれた家が
はじめて舞うもののようにふるえていた


咲いたばかりの花があたりを見わたし
草より少しだけ高い空を聴いていた


短い陽の終わりまで
歩むものの姿が絶えることはなかった


音と水へのささげもののように
雨はあふれ 流れつづけた



あなたという人の
はじまりの頁まで




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