土/葉leaf
な私も、短い期間であったが、土と離れて暮らしたことがあった。冷害の年で、作物の実りがあまり良くなかったから出稼ぎに行ったのである。都会での建設現場の仕事は、私を著しく疎外した。食事もまた私を困らせた。土のない生活は、私にとっては身体を失った生活であり、それゆえすぐさま不調になって家に帰ってきた。私は帰宅一番、畑に行って、一番肥えているところの土を口いっぱい頬張り、腹が満たされるまで土を食べ続けた。私は飢餓状態だったのだ。
今日も土の粒子たちはきらめき、ひるがえり、無数の心地よい音楽を奏でている。そして、粒子たちのまなざしの集まる土の各層には絵画的な美が生まれるし、畑における各部位での土の組成や土の固まり具合、湿り具合は、何か彫刻的な美を生み出していると私は感じる。
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