影虫/まーつん
存在の全てを否定されたら
君は裏返ってしまった
歩き回る影の様に
光の中に居場所を探す
そこを
白い地獄と
呼んでもいい
頭上の雲は
あらゆる色に染まるが
白だけは取り戻せない
紅い風に吹かれ
銀の雨に打たれながら
鏡の国へと通ずる
秘密の入り口を探し続け
当てもない探索に
やがては飽いて
見捨てられたビルに逃げ込み
閉じ込められた時間が
ゆっくりと朽ちていく
部屋の一つに倒れ込む
床に寝そべれば
絨毯を這いまわる
無数の黒い゛影虫 ゛たち
それはあるいは
君の一部なの
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