九月散景/
木立 悟
流れはじめる雲はみな
夜の灯りに焼けたように
薄暗く赤く降りてくる
あの雲のほうに行くのだ
町をがさがさと覆い隠す
あの雲の視線を向くのだ
曲がり角を飛ぶ高圧線
殉教者の背をした鉄塔群
震えながら夕暮れを支えつづける
病んだ拍手のための病棟
割れた万華鏡から逃れた光
揺れるふたつの蜘蛛の巣を過ぎ
次の巡りの夜へと向かう
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