山田亮太詩集『ジャイアントフィールド』について/葉leaf
 
から見えるもののすべてが知らない形をしている。
これは二〇〇一年の恐怖だ。まただ。
またウサギが降ってくる。死体。
街灯だけになった街を歩く。
人のいない場所に人がいる。それを誰かが見ている。
もう何年も誰も座っていない。
そのベンチの上で踊りつづけている人がいる。
歌を歌いつづけている人がいる。箱を運びつづけている人もいる。
もう二度と運ばれることがない。それを誰かが見ている。
       (「エコシステム」)

 山田の文体は非常に簡潔である。そこには複雑な文彩は出現しない。だから、山田の文章はある意味わかりやすい。ところが、それは文を単位とした分かり易さであって、文が
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