遡る/青井
ぶらぶらとぷらぷらを
足して二で割ったような散歩をしていた
日曜日のエイプリルフール
晴れているような曇っているような空だ
やることもないし嘘をつきたい相手もいない
コンビニでショートホープでも買い足すかと
小銭を右のポケットで鳴らしながら
坂の多い町並みを道なりに上がったり下がったり
していたらいつの間にか
ぼくは遡っていたのでした
たしかに坂をのぼってはいたが
遡るつもりは無論なかった
とはいえ遡ってしまったものはしょうがない
物事を適度にあきらめながら適量を受け入れること
それが大人の態度です
ぼくも少しは大人になったのだ
ともあれ遡りはじめた
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