新しきものへ/ヒヤシンス
 
純白の朝、僕等は東向きのテラスの藤椅子に腰掛けて、去りゆくものに挨拶をした。
爽やかな風がさらりと流れ、僕等の机上に薄緑の葉を寄こした。
小鳥たちの明朗な歌声が林の中に鳴り響き、朝顔は寝ぼけ眼をこすった。
僕等は幸せの中で新しいものの足音を聴いた。

辺り一面にちりばめられた朝露がきらきらと輝き、新しいものに挨拶をする。
恵みの水が小川をさらさらと流れ、緑の木の葉が喜びの船出をする。
森の木立の梢の上では、妖精たちが朝食の準備にとりかかる。
幸せに包まれた僕等は、新しいものに感謝し、ピンク色の微笑みを漏らす。

あこがれはいつもあの雲の向こうにあった。
そして時々灰を降らすあの山の麓に。
突然やって来る驟雨の中に。

今、僕等の心に優しく沁み込む淡いレモン色の光こそ、輝ける新しきもの。
その静かな到来こそ、僕等を導く新しき道標。
ここは、一つになれたすべてのものに与えられた安息の地だ。

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