長い休符/アラガイs
いつも物思いに耽っているではないか
夜が明けるときの音が嫌いだ
それにしても静かな音楽が聴けなくなっている
もちろん騒音に酔いしれることもない
鼓膜は伝わる息を避けている
要するに寂しすぎて眼を閉じる余裕がないのだ
耳を開いてみよう
一日くらいテレビを見ない
そんな余裕があってもいい
そう考えてみれば、
しかし、何と気の抜けた暮らしぶりだろう
生活は惰性に慣れることをすでに受け入れてしまっている
息をしながらも吐き出した実感がない
つまり吐き出した息は吸い込んだ息のままで、何も還元されてはいない
ここまで憂鬱さを飼い慣らしてくると、自分の吐いた息までも
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