さよならルル/吉岡ペペロ
「ぼくはなんで泣いてるんだろう」
蛙のルルは、そう鳴きました。
夜空に星が見えました。
星からの光線がとてもまぶしくて、ルルは目をしばたたかせました。
「ぼくはなんで目をしばたたかせてるんだろう」
蛙のルルは、こんどはそう鳴きました。
ルルはとろりと炭色によどんだ水面を見ようとしました。
でもルルの目はうえを向いたまま。
ここはルルが数えきれない仲間たちや兄弟たちと生まれ育った場所です。
泡のように生きて、消えて、ルルにはじぶんがうつつか夢かも分かりませんでした。
水面に、今夜の星がひときわ冴えやかに映っています。
「ぼくはなんにも思い出せない」
ルルはそう鳴い
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