薔薇のこと2/はるな
は、とても安心なことだ。
わたしはわたしのかたちを思い出す。
わたしひとりで、自分のかたちを作れないことが、以前はとても不満で、不安で、恐ろしいことのように思えたけれど、いまはすこしちがう。
わたしはいつも少しずつあたらしいかたちでいることができる。いつも、同じかたちでいることはできない。それは必ずしも悪いことじゃない。良いことでなかったとしても。
それらは悪いことじゃない。
たとえ良いことでなかったとしても。
夫と行った福岡で、薔薇園へ寄ったことを思い出していた。
夫は手入れの難しそうな、大輪咲きのあでやかなタイプの薔薇が良いと言っていた。
わたしは放っておかれたような蔓薔薇が好き。
そして友人の胸には青い薔薇が咲いている。
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