フランダース/salco
切手コレクション3冊を付けてやろう」
こんな破格の折衷案にも困惑の沈黙や即切りを返すばかり。
万策尽きたある朝、太は読んでいた尊經新聞を引き裂くと「この手があったか」と膝を打つ。それは出会い系サイトで未成年を買
春した巡査長の記事であった。
太の胸に苦い過去がよみがえる。あれは四半世紀前、公用車に車載電話を据えた社長に対する感情移入と、ポケベルに留まる同僚
への見栄から夏のボーナスをはたいて契約したものの、まるでセメントを詰めた飯盒のごときバッテリーの悪辣とも言える小型・軽
量化に伴い瞬く間に姿を消し、尚且つお笑い草となった、それはJTTのショルダーフォンであった…。
爾
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