ウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』/pur/cran
 
 『蝿の王』。『十五少年漂流記』との比較されることがあると聞き、どのようなものか気になって読んだ覚えがある。今から十年も前になるだろうか。おぼろげな記憶を頼りにざっくばらんに概要を述べれば、漂流した少年たちが無人島で争いあうようになりながら、最後には救助されるものだ。物語の展開自体は、今となっては珍しくない。
 しかし、いまだに忘れえない。あの最後の台詞が忘れられないのだ。「きみたちも英国人なら紳士的に振舞うべきでなかったのかね」と、軍艦から降りてきた英国軍人が、少年たちを叱咤するのである。
 紳士的に? 殺し合いをしているのは、戦争をしているのは、むしろ大人の英国人であるのに?
少年たちは
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