天牛と島の少年/壮佑
―M・T君に―
「てんぎゅうをとりにいこう」
きみがそう言った夏休みに
ぼくらは残忍なハンターになる
もくもくと青空に湧く入道雲
稚魚の群れが回遊する島の海を
ぼくらは毎日飽きるほど泳いだ
陸(おか)に上がって濡れた体を拭いても
蝉の声の合唱に囲まれたら
すぐに大粒の汗が吹き出て来る
湿気た藪に羽虫の群れが忙しく舞い
麦草の上を黄金虫が飛んで行って
ぼくらの行く先は斑猫(ハンミョウ)が道案内
草叢から蝮(ハミ)が這い出て来ても
きみは素早くしっぽを掴んで
そいつと遊んだ後で頭を潰した
ぼくらは島の少年
萱の茂
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