痼/アラガイs
 

重苦しさは蒸発しない空気のせいだろう
冷めた首筋の脈を促す気配に、昼と夜の違いなんて在りもしない
「凶器を手にしたまま祈る人間は信じない」
彼は地と空へ向けて強く言い放った
引力から離れてゆく衛星
見続けた赤い星も去り
夢が過去を語りだせば麻痺も鈍くなる
語り尽くせぬままにあなたは消えた
忌が明けたとき救われたのは誰で悔いたのは誰?
庭土の染み跡は溶けた胞子状の塊
木陰も薄れ次に陽が昇るとき
何故か瞼の片方に小さな痼ができていた 。







戻る   Point(2)