白鷺と烏/カルメンオジン
 
目糖のスピードで空に馴染んでゆく。

こんな丁度良い天気には、携帯電話にも東野圭吾にも用はなくて。

いい日だ。









どれくらい経ったろう。
ふとオレンジ色の冷たい風に頬を撫でられ、意識が現実へと帰ってくる。

溜め息一つ、一口残った冷めたコーヒーをくっと飲み干す。

帰るか。



電線の上には、重たい体を休めるように真黒い烏。
明日からまた、いつも通りの日々が始まることを否応なしに再認識させるように。







.
戻る   Point(1)