白鷺と烏/
カルメンオジン
目糖のスピードで空に馴染んでゆく。
こんな丁度良い天気には、携帯電話にも東野圭吾にも用はなくて。
いい日だ。
どれくらい経ったろう。
ふとオレンジ色の冷たい風に頬を撫でられ、意識が現実へと帰ってくる。
溜め息一つ、一口残った冷めたコーヒーをくっと飲み干す。
帰るか。
電線の上には、重たい体を休めるように真黒い烏。
明日からまた、いつも通りの日々が始まることを否応なしに再認識させるように。
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