傍観から批評へ/葉leaf
 
することによって、批評者は対象との深い接触を通じて自ら変化していくことも多いのである。
 私たちの持てる資源は限られている。それに対して私たちを取り巻く物事は過剰である。多くの物事に薄く資源配分するのが傍観の態度であり、少ない物事に強く資源配分するのが批評の態度である。傍観は自己確認でありコストも少ないのでやりやすいが、それでは物事も自己も社会に対して開かれていかないし、自己が変化する機会も少ない。批評は物事と自己とを同時に社会に開き、物事と自己をより完成に近いものに近づけ、物事と自己が変化する契機を作る。普段は傍観の態度を決め込んでいても、何かひどく興味をそそられたり、ひどく自己と矛盾するものを見出した場合、そこに批評のエネルギーを投下してもよいのではないだろうか。その結果として豊かなものがもたらされるかもしれない。
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