ナイフと、弾丸と/まーつん
嘘を百回繰り返してみても
それは本当にはならない
醜い自分を
美しい言葉で飾ったところで
鏡に映る本質は変わらない
皮膚の下に埋まった弾丸を
取り出してしまいたいんだ
ナイフで縫合の痕を裂いて
血を流す肉のひだから抉り出す
古い鉛の弾 痛みの種子が
張り出した根を
引きずりながら
白日の元に晒される
本当の言葉は
ナイフのようなもの
それは恥のように
自尊心を傷つけ
憎しみのように
純真を壊す
だけど
ナイフでなければ取り出せない
弾
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