幻惑/ハスイ リョウ
光があるところ、彼は進んだ
辺りには、暗闇が拡がっていた
彼の呼吸は闇を照らしていた
しかし、彼は気づく
なんたるや徒労であるか
彼の気づきは彼自身を苦しめ、
更に照らされた闇はまた辺りを暗くし始めて
彼は無限と肉体を吐き出した
ああ、子供達よ、出てしまったのか
何もないここへ出てしまったのか
血が滾るまでの間、精神が先鋭になっていく間
お前達は今を祝福することだろう
確かに私たちは
尊大な心から産まれてきた同士である
しかし子供達よ
さながら、老いて先立たれ一人になるもののように気づくのだ
運命に基づく仕打ちを
それは私たちを辱しめるだろう
老いも若きもな
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