物語になってしまう/因子
 
た。
祖母のための食事で祖母はほとんどそこにいないかのようだった。
帰る道に夏の日差しがへんに明るく
手を振る老女に
手を振りながら
この意味のない食事を
祖母が死んだとき思い出して
きっとみな後悔するのだろうと
そういう未来を広い道路のむこうにみた。
それも物語だ。
ぜんぶ物語になってしまう。


現実は電車に乗って600円くらいかかる先にある。
まだそこで生きているらしい。
覚えていない孫の勝手な物語になりながら
まだ生きている。
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