帰る(五月雨降られ): 2013/AB(なかほど)
 

もう見えていたんだろうか
雨を待ちながらゆっくり歩き
あの日入れなかった国文研に入る
もう少しで降ってきそうだから
もう少しここで探してみる

もう降らないのかもしれない
もう降っているのかもしれない



あの日の雨は

もう降らないのかもしれない
もう降っているのかもしれない


僕は目を閉じて
五月雨に降られたなら
君の笑顔が
見えるのだろうか
それとも
あの五月雨に濡れたなら
君は遠くへ
消えてしまうのか


五月雨ふられ
あの日の君は
五月雨ふられ
今 僕は
        雨

洗足池に降る雨を
鈍行列車に降る雨を
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