僕たちの今を正しく生きる術はない/瀬崎 虎彦
 
夜に旅をしていた
亡骸の
軽い足音を聞いていたら
もう戻れなくなってしまう

草ばかりが広がっている
広い場所だった
帰り道はわからないし
どこへ向かっていたのかも分らない

声だけが最後に残る
微笑よりもそのことを憶えて
葉の上を走る水滴のように

一瞬のことだったといつか
思い出す日が来るだろうか
僕たちの今を正しく生きる術はない
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