藍色の雨/灰泥軽茶
 
傘をさして外に出れば

藍色の灯火が揺れている

深海魚のまなこの奥に眠る

遥か太古の記憶が

生温かい雨粒と一緒にこめかみを撫で

息がとまる

藍色の雨が深く私を染めていく

時間の流れは不確かである

私は少しずつ普遍的な何かに溶かされていき

藍色の灯火が

水玉模様のようにたくさんと揺れているが

傘を打つ雨の音だけが

淡々と何気ない語らいとなり

ここにいるよと告げている













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