午前3時のあなた/ただのみきや
目の前のビルに
多くの人間がひしめき合い
忙しく動き回っている
皆同じような恰好をして
皆同じように倍速で囀りながら
男も女も激流のよう
そんな中に一人
着こなしの悪いのが右往左往
あっぷあっぷと翻弄されている
あなただ
そう
意味は不明
だが感じることはできる
茫漠とした大地の上に唯一今にも
倒れそうにバランスを欠いた建造物
それは あなたの心の有様
みんなの言葉
みんなの行動
みんなの好み
見つけ出したというほどの意識もなく
選びとったと言えるほどの意志もない
氾濫した情報の濁流にぷかぷかと
流され続けるペットボトルのように
中味の無
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