錆びた世界の朝/ホロウ・シカエルボク
いつかあの人が話していたことがあった、コンクリートだから冷たいのだ、あの人もコンクリートで出来ていたのだろうか、私はあの人に殴られたり投げつけられたりするためにこの世界に生まれてきたのだろうか、きっとそうなんだ、きっと…だけど、私がこうして殴られていなければ、私がもしもそのことを拒んだのなら、あの人はきっとこの弟に同じことをしただろう、だから私は殴られないわけにはいけなかった、あの人はきっと、こんな小さな弟を殴ることだって平気でしただろう、弟にはお父さんが居なかった、それは私の時とは違っていた、私には最初からお父さんが居なかったわけではなかったから、お父さんが居るときは楽しかった、私はあの人に抱っ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)