スイングトップ滑空/灰泥軽茶
 
春の夜明けとともに

スイングトップははためき飛んでいく

空高く舞い上がり陽を浴びて

スイングトップは雲の流れのように

変幻自在に色を変えていく

まだ黒い闇と青い沈黙が混じる道路を

肌寒さに身を縮めながら自転車を漕ぐ男を

スイングトップは見つけると

さあと滑空して

ふうと優しく着地すると

水色の憐れみと桃色の希望が混じった

印象派の絵画のように蠢き暖かく包んだ

大きなあくびと共に男は勢いよくチャックを

しゅるしゅるしゅるりと上げてゆき

誰もいない朝の道路を加速していく
















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