漂着物/ただのみきや
 
ってしまうのだ

この腕の中にあったはずの感覚も

記憶とともに次々と

煙のように霧散する

そして微かな痛みと

顔のないイメージの残像

透明な消失感だけが石灰化する

切れ切れで

たどたどしい

寄木細工をたとえ

倉庫いっぱいにこさえてみても

満たされることはない

心は夜の汀に佇み

聞こえないものに耳を傾け

見えないものに目を凝らす

この空白を浮き上がらせる

漂着物を捜している



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