暗闇/ウデラコウ
日の当らないところから 青い空を見るのが好きだった
なんだかおかしなことをしているような気がして
薄暗い部屋のなか 路地の裏 森のなか
周りの黒に囲まれて 切り取ったように青い空が好きだった
そうしていると なぜか
自分だけ取り残されているようで でも
手を伸ばせば 助かるような気がして
なんだか 選ばれた人間のような気分になっていたんだ
あの頃は
薄暗いその場所が 僕の唯一の場所と決めていて
そこから動くこともせずただ
青い空だけに 憧れていた
夜がくれば 明けるのを待ち
雨がふれば あがるのを待ち
そうして ずうっと
呼吸を止めるまで そうしている
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