ノート(渦と道)/木立 悟
 



問い直せない問いばかり
白い段差に降り積もる
足もとにくずれては舞い上がり
白い段差に降り積もる



くずれるものらは道になり
道の下へと波打ってゆく
吹雪のなかを
何かを抱えて歩む人
帽子も手袋も身につけず
もうひとつの道の渦へと
降りるように去ってゆく



肩に積もった音をはらい
影に追い越されながら歩きつづける
鉄はまっすぐ白くふちどられ
夜の紫を区切ってゆく
いつまでも 問いはいつまでも
無言のままに騒がしい



籠を背負って巡る人が
何かを捜してうつむいている
巡るたびに
うつむくたびに
籠のなかから光がこぼれ
重なる道を
重なる歩みを照らしてゆく







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