バビロン街の夜明け/服部 剛
ヒッピーきどりの5人は
ぐちゃぐちゃな色の上
坐り心地のいいダンボールをひいて
あぐらをかいた笑顔の奥で
ごちゃまぜの人間の色を抱きしめてる
いとしいのは
男の腐った瞳かもしれぬ
いとしいのは
体売る女の哀しみかもしれぬ
バビロンの逃れられぬ街に
それぞれの物語を生きる人々の
哀愁は時をわたり
終わりの日まで変わることはないだろう
夜明けのカラスが鳴き始める頃
若者達は腰をあげ
ダンボールをかたずけ
日常の現実に向けて歩き出す
改札での別れぎわ
男は4人と重ねる手のひらを打
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