バビロン街の夜明け/服部 剛
 
新宿の路上 ヒッピーをきどる若者達は
ダンボールひいて妙な感触の良さを味わい
くだらないトークを楽しみ
夜明けを待つ 真夜中の歌舞伎町

消えぬネオン街に行き交う人々
ぎたあ弾き語る路上の歌唄い達は
とっくに帰っちまったよ

異国の娼婦(しょうふ)は
甘い声で見知らぬ男の肩にふれ
純粋さを封印した汚れた瞳の快楽主義者が
紙っぺら3枚で女を買う
夜の路上の新宿

甘いものは地に転がり
うじゃうじゃまとわりつくありんこの群
燃える欲望は今夜も街を眠らせず
新宿は人間の悪臭と刹那(せつな)をごちゃまぜにした
108色をこねくりまわしたパレットで

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