中庭のある小学校で/
夏美かをる
ない
結局レスリーは
正しい答えを見つけられなかった
それでも
「よく考えて頑張ったね。えらかったよ!」
と私が言うと、
初めて真っ直ぐ私を見つめて
「サンキュー!」
と前歯のない口元をほころばせた
その瞬間
キラリと輝いた虹彩が
中庭の土を押しのけて
ただ上へ上へと伸びようとしている
クロッカスの新芽に鮮やかに映え、
私の網膜に
瑞々しい萌黄色の輪をふたつ
しっかりと焼き付けた
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