夢の行方/salco
んでした
そうやって百年ばかり経ちました
本当だ
砂の流れる音がするよ
男は涙を流します
あとからあとから滴の染みが広がって
枕覆いを濡らします
しかし女は灼熱の砂漠にいるのですから
届きはしません
寝息を立てる温かな体を引き寄せながら
覚めた時
長い長い黒髪だけが頬に触れ
枕に残っておりました
夜のように冷え冷えと
川のように素っけなく
優しいのはその花びらのような肌だけだった
おまえはいつもこうして俺を不幸にする
そんなおまえを
俺は一度も幸せにできなかったのだと
わがままで美しい
白い花のようであった女を思い
遙かな砂の国で一片の骨になった女を
呼び戻せないかと
こうして男は慟哭し続け
今日も雨がたくさん降って来ます
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