足の裏のカタツムリ/茜井ことは
 
。たったそれだけの作業が、もはやブームの去ったただのぬめぬめした貝殻を背負った物体でしかないカタツムリへ払う労力としては、大きすぎるように思えたのだ。白い貝殻のカタツムリを、オパールを背負った天使のように思っていた自分が、もはや理解不能であった。
 そうして、わたしのカタツムリへの愛情が目減りしていくだけ、虫かご掃除の頻度もまばらになっていき、水と餌をろくに与えられないカタツムリたちは、干からびて死んでいった。
 しかし、死したカタツムリを前にしてもなお、わたしは改心することなく、ただ家の近くにカタツムリを埋めては、罪悪感も一緒に葬ってしまっていた。

 そんな苛酷な環境で、仲間たちが続々
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