風/木屋 亞万
 
防備に空を泳いで順風満帆さえ命とり
無邪気な風にへし折られた骨を数える

風には何語も通じない
いかなる刃も弾丸も役に立たない
どれだけ石を積み上げたところで立て板に水

背中のくぼみの真ん中で煙をあげて壊れる機体
折れた骨の残骸に埋もれて
澄んだ夜空にまでこびりついた砂粒を見る

吹き止まない風と戦って得るものは何なのか
思考の跡すらさらさらと砂に消されて
ちいさな粒子のつぶに埋もれる

もうこれで私は砂のように微小な
そして砂漠のように漠然とした存在
吹き止まない風となって世界をぐるぐる回り続ける

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