風/木屋 亞万
漠然とした砂の続く大地
平らな線が限りなく遠くに
つなぎ合わせればおそらく丸い
砂の山の起伏もさらなる飛翔の末
なめらかな肌になるのかもしれない
女の柔い背中の上を飛んでいる
細胞の一つひとつの核がぼこぼこと出張る
何一つ立ち上がるものはない見渡す限りに砂
なめれば甘そうな白は滑らかで
骨の粉末を血で浸したものを吹き荒らす風
むべむべと山風が故郷を失い錯乱すれば
ひりひりとした緊張のなか空気がかわいていく
あたらしい日を浴びて白けていく愛
砂嵐に埋もれてしまったテレビスターには
灰色のノイズ以外なにも残らない
風に戦いを挑んだ飛行気乗りは
無防備
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