きみと出会った日/
草野春心
僕のなまえがとけてゆく
きみの
鎖骨にたまる、
やさしげな影の湖で
カタツムリの殻のような
気だるい模様を描いて
きみのなまえもとけてゆく
椅子に座りバナナの皮を剥く
立ち上がり本棚から分厚い辞書を取り出す
なんの役にも立たないものや言葉に
邪気もなくあこがれていた
でもそれもとけてゆく
微かな風をうけて窓が震える
悲しみが何処かにしゃがんでいる
朝陽が眩しい
きみと出会ったのはこんな夏の日だった
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