冷たい牛乳/まきしむ
 
osarusandes編集
cold milk

間違いのない歌を
歌うには
冷たい朝
牛乳を飲まなければ
屈伸をしなければならない

牧草
茅葺き屋根の家の前で
わたしは上半身裸、
ズボンを膝の位置で折り曲げた状態
タオルで体を吹く

無数の木々から運ばれてくる細かな水の数々が
空間を大きなカーテンのようにうねりを作り
わたしもろとも覆ってゆくので

流れてゆく私の体は十分に潤いを持ち
短く刈った頭に空いた穴から
全身にそれを吸収し

やっと動く力が湧いてき、
なにをすべきかすべてが判然とし
家に帰ると冷たい牛乳を飲み干し

さあ今日もがんばるかとか言って、
鏡に映る自分を見つめるのでした

間違いのない歌や鼓動は
そうして得られ
ともすれば埋没してしまうわたしを
つくり、支えるものであり
わたしは今現在こうして文字を打つことができるのであります
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