悪夢ちゃん/はなもとあお
残されたもののほうが痛い
泣いているあなたを助けたかった
ただ
それだけだった
はず
なのに
わたしは
誰かに
助けられたかった
本当は一緒に
泣いていればよかったのかもしれない
それでも
わたしは大人で
子どもを産んで
はじめて
子どもの時
泣けなかった
自分の痛みに気付いた
母親なのに
わたしは
子どもとともに
子どもになった
そして
子ども達は成長し
ちいさなわたしは
子ども達に
追い抜かれていった
もしかしたら
わたしには
お兄ちゃんができたのかもしれない
悪夢は
決して
一緒には
見ないけれど
ひと夢
ふた夢
繰り返し
日ごと
おとずれる
それは
きっと
浄化のための日々
ゆっくり
ゆっくりとしか
進まない
未来への軌跡
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