悪夢ちゃん/はなもとあお
 
眠るたび
おとずれる
目覚めるたび
おとずれていた

あの日言えなかった
叫び
テレビドラマのように
決して
未来を予知することもなく誰かを助けることも出来ず
ただ
吐き出せなかった
本当は伝えたかった
言葉だけが
過ぎ去った時の姿とともに
繰り返される



あなたは
最後に
何を伝えたかった
わたしの祈りも
叶わないまま

桜は
その身にどんな災難が降り掛かろうとも
内に秘めた
ピンクを
春には
空のしたに
姿を現し
咲き誇り
雨のように散って
わたしの目の前で
季節を
体現してくれるというのに
あなたは




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