僕は孤独ではないと気がついた時に僕は孤独になった/煙と工場
 
ざめざめと泣きたい時があり
そういうときに本を読む
全く泣く気にならない

大事なものを壊されて
大事ななにかを失い
だが全く泣く気にならない

外に勢い良く出れば
感情だけがゆるりと外へ
視野に広がるのは灰色の空
だけど日に手を掲げれば緑色

電車も公園も食堂も全てが消えた
宇宙で孤独になった感触を
ただぶにぶにと
手でにぎにぎし
その感触を味わう
(少しは握力もついた)

電灯の光は孤独にさせる
故に蛾も電灯に群がる
今日も指で孤独を潰す
故に僕も他人に潰される

そんなことを考えて
自宅の鍵を開けた
すると野良猫が一人
すりよってきた

泣いた
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