空に浮かぶ棺/まーつん
夜には涙を流し
昼には歯を食いしばり
そんな 見苦しい表情を
想い出の中に焼き付けてきた
大勢の自分達
心の物置に積み上げた
記憶のフィルムに踊りだす
透明なモノクロの自画像
そんな彼らを 二度と
映写機にかけずに済むように
一つに束ね合わせたところ
彼らは互いに溶けあって
一体の死骸となった
それはすなわち
在りし日の
自分の未熟さ
その忌まわしい
エッセンスだった
私はそれを葬ろうと
オークの木の棺に納め
一通りの儀式を経たあと
火にかけようとし
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