逆上がり/殿岡秀秋
て
女の子の頭にのるのを
想いだすたびに
心のなかでありがとうと言う
仕事の後で合気道の稽古に行く
続けていくと
薄紙を重ねるように
身についていく
力みをとろうとして
工夫を重ねるが
からだの奥まで
緩ませるのは難しい
修練を重ねてぼくのからだは
はじめたころの動きとは
比べものにならないほど軽やかになり
投げを受けて
空に跳ぶ
心から言葉の糸を紡ぎだして
日々組み合わせていくと
糸の色を活かした模様を
織ることができるようになり
悲しみが
美しさに
茜雲のように彩られる
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