逆上がり/殿岡秀秋
 
体育の授業でできなかった
隣に座る女の子が休み時間に
ぼくを誘ってくれた
ふたりで校庭をはしって
鉄棒につかまり
練習を始めた

雨の降らない日は
休み時間のたびに
ふたりで鉄棒をする
ある日両足で地面を強くたたくと
腰が浮きあがるのが感じられた

鉄棒を両手でつかみ
両足を空につきさす
頭がいったん落下してから
勢いよく空へあがり
鉄棒を軸に回転して
からだが浮きあがる
二階建て木造校舎が低く見え
頭から足の先まで力が抜けていく

女の子も同じころにできた
両腕を支えにして鉄棒の上で
二人で微笑みを交わす
青空に浮かぶ雲が
白い綿帽子になって
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