風の中の鳥のように/梅昆布茶
 
風はいつだって吹いているんだ

君は生まれた街を忘れてはいないか

水はいつだって洗い流してゆく

僕たちは心の地肌を隠してはいないか


この世界は様々な角度に切り取られ
柔らかな多面体を維持して
猿のネオテニーとも言われる僕ら

社会とか家族
職場や人間関係

政治や経済や
タバコ屋のおばあちゃんや
今鑑別所で更生中の後輩とか

くだらない酒を飲んでは
馬鹿っぱなしで盛り上がる仲間とか

僕を動かしているすべてが世界だとおもう

鳥は風を得て空をゆく
様々な風の表情を読みながら
みづからの血流を感じながら
コントロールできない自分に
失速しながら

それでも風をさがす

生まれてからこのかた
ずっとそうやって生きてきた

これからもたぶん

既存の枠にはまああまりこだわらずに

風に従って

飛ぼうとはおもっているのだが








戻る   Point(6)