役者は夜になった/nonya
夜を垣間見ながら
役者の咽び泣きは霧になった
報いなのだ
あまりにも言葉を弄び過ぎた
哀願嘔吐欺瞞 恐怖虚栄軽薄
孤独 嫉妬 執着
焦燥呻吟 憎悪戯言
恥辱慟哭鈍痛悲鳴不安
閉塞 暴発
未練無視憂鬱
劣情歪曲
人の影が夜の闇に触れたとたん
発せられる途方もない悪臭を
さんざん嗅がされた揚句
東の空が微笑み始める頃には
役者は
きれいさっぱり忘れ去られた
もちろん
来る日も来る日も
それは続いた
役者は
夜になったのだから
*
ところで
今宵は新月
月は縫い合わされた
流れ星だって?
ふんっ
泣いても無駄だよ
戻る 編 削 Point(14)